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第64回 魅力的な人

 

 もう昨年のことになるのだけど、父が日本芸術院の会員に選ばれた。私事で恐縮ですが、今回はその話。


 日本芸術院というのは、美術、文芸、音楽、演劇等、芸術分野のすぐれた芸術家を優遇顕彰するために設けられた国の栄誉機関のことで、この年、父のほかに新たに会員となったのは、建築家の隈研吾さん、坂茂さん、劇作家の野田秀樹さん、俳優の倍賞千恵子さんなどそうそうたる顔ぶれ。


 東京に雪がちらほらと舞った3月3日、発令式に出席する父の付き添いで上野公園の一角にある日本芸術院に出掛けた。待合室で式が始まるのを待っている間、僕ら家族の隣にいらっしゃった倍賞千恵子さんと話す機会があった。


 子どもの頃から寅さんシリーズが好きで作品をほとんど観ている自分は、憧れのさくらさんを目の前にしてすっかり舞い上がってしまい、ろくな会話ができなかった。父が「息子はテニスクラブで働いていましてね」なんて余計な話をしたら、「あら、今度やりに行こうかしら」と倍賞さんは映画の中のさくらさんそのままの笑顔で言っていたけど、まあ、来ないでしょうね。皆さん、安心してください。


 式の最後に新会員がひとりずつ前に出て短いスピーチを行った。それがとてもすばらしくて、今でも心に残っている。話が長くなってしまうので、その内容を詳しく説明はしないが、とにかく偉ぶる人も、型どおりの堅苦しい挨拶をする人もひとりもいなかった。皆さん、自分がやってきた仕事についてユーモアを交えて語るのだが、まるで映画のワンシーンを観ているかのように、その情景が目に浮かぶようだった。特に野田秀樹さんのスピーチが面白かった。さすが劇作家、話に引き込まれた。もしかしたら何かを創り出す人(芸術家)というのは、語ることも映像のように立体的に構成できるのかもしれない。


 彼らの話を聞いていて、自分も魅力的な人間になりたいと強く思った。将来、芸術院の会員になることはむずかしいが、テニスだけではなく、もっといろいろなことにチャレンジし、吸収し、深みのある人間になるぞ!と鼻息を荒くして家路についた。


 新しくなったコートとクラブハウス、そして会員の皆さん一人ひとりのパーソナリティーが醸し出すアットホームな雰囲気などKTGの魅力はたくさんあるが、支配人である自分もKTGの魅力のひとつになりたいと思う。


 2026年も、どうぞよろしくお願いします。

 
 
 

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