ジョン・レノンの『イマジン』という曲をご存じですか? 知らないという方も、きっと一度はメロディーを聴いたことがあると思います。YouTubeの再生回数を調べてみたら、なんと2.5億回! 間違いなく20世紀を代表する曲のひとつでしょう。
「想像してごらん」という呼びかけから始まる平和と人類愛を歌ったこの曲は、オノ・ヨーコの詩集『グレープフルーツ』からヒントを得て作ったのだそう。出来上がったとき、ジョンは「やっと(ポール・マッカートニー作の)イエスタディみたいないい曲ができた」と喜んだというのは有名な話です。
その存在がビートルズ解散の原因のひとつになったのではないかなどとファンからいろいろ言われてきたヨーコさんだけど、表現者としてジョンやビートルズに与えた影響力はとてつもなく大きかったみたいですね。
僕は出だしの部分の歌詞が好きです。
「想像してごらん、天国なんてないんだと。地面の下に地獄なんてないし、僕たちの上にはただ空があるだけ。想像してごらん、みんなが、ただ今を生きてるって」
国境や宗教、そして天国をも否定しているように解釈できるということで、1971年の発売当時は一部のテレビやラジオで放送禁止になったこともあるそうです。また、社会主義思想を想起させると指摘されることも。
確かに、強いメッセージに聞こえるけど、ジョンはきっと、子どものような純粋な気持ちでこの曲を作ったのだと僕は思います。国と国が争い、宗教と宗教がぶつかり合い、人が血を流すことに、単純に異を唱えているだけ。
しかし、ジョンのシンプルな願いは発売から50年以上経った今でも届くことなく、21世紀の出来事と到底思えない蛮行が、連日繰り広げられている。何も罪がないウクライナの人たちが戦禍に苦しんでいる姿を、プーチンは想像(イマジン)できなかったのだろうか。
この矛盾と暴力と悲哀に溢れた世界において、ジョンの願いが実現するのは簡単なことではない。しかし、「きみは僕を夢想家だと言うかもしれない。でも、いつかきみも仲間になって、そうしたら、きっと世界はひとつになる」と歌詞にもあるように、異なった文化や人種、宗教を受け入れずに否定する「きみ」も、いつかはいっしょになれるんだという希望を持ち続けることは、とても大切なことだと思う。
ウクライナにいるであろう、僕たちと同じようにテニスを愛する多くの人たちが、以前のように心からテニスを楽しめる日が早く訪れますように。PEACE!
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