第51回 楽しむ力。

更新日:10月29日


 メジャーリーグの大谷翔平を観ていると、「野球を楽しんでいるなあ」と思う。

 ピッチャーとして登板し、100球投げた翌日に4打席立ってホームランを打って、盗塁して。同じ日にすべてをこなすこともある。経験したことはないが、体の負担は相当なものだろう。しかし、彼はいつも笑顔だ。プレーする喜びが伝わってくる。この「楽しむ」という力が、とても重要だと思う。


「登板の翌日に、行けるか?と聞くと、OKと返事が返ってくる。ショウヘイは私の欲求を断ったことがない。プレーする純粋な楽しさが、彼を疲れなくさせている」とエンゼルスのジョー・マッドン監督。

 大金が絡むビッグビジネスだが、野球もテニスも遊びだ。それを大谷は正しく理解しているのではないか。ベースのところで楽しさや喜びがないと、何かに押しつぶされてしまうからだ。


 大坂なおみはどうか。


 今年最後のグランドスラムだったUSオープンでは3回戦敗退。勢いがあった19歳のレイラ・フェルナンデスに惜敗した。試合後、さっさと荷物をまとめ、足早にスタジアムの通路に消えていった姿が印象的だった。

 今の彼女は、プレーを心から楽しんでいないように見える。どこか寂しげで、悲壮感さえ漂わせている。


 もちろん彼女も、テニスを始めた頃は、ボールを追いかけるのが楽しくて仕方がなかったはずだ。しかし、プロとなり、大金を稼ぐようになると、純粋に「楽しむ」ことがむずかしくなってきたのかもしれない。


「私が稼いで、生活のために働き詰めだったママを助けたかった」と何かのインタビューで答えていた。それがプレーする大きなモティベーションになっていたのだという。夢が叶い、セレブの仲間入りをした今、どう気持ちを立て直してくるか。来シーズンに注目したい。


 楽しそうにプレーしている人を見ていると、こちらまで楽しくなってくる。KTGで「楽しそうにプレーしている人」といえば、真っ先に思い浮かぶのは横山さんと小野さんかな。いつも笑顔を絶やさないおふたりは、本当にすごいなと思う。あの笑い声が伝染し、いっしょにプレーしている人たちも自然と笑顔になってしまう。


 今後、テニスで大金を稼ぐこともないだろうからプレッシャーに押しつぶされるような心配はないと思うけど、どうかいつまでも純粋にテニスを楽しんでくださいね。

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