第46回 コロナ闘病記

更新日:5月13日

「あ~陽性反応が出ていますね。確実にコロナに感染しています」と先生は少しびっくりした感じで言った。

 やっぱり感染していたかと思った。うちの奥さんに先に陽性反応が出て、濃厚接触者となってから、この1週間でPCR検査を3回受けていた。竹下内科の検査ブースが設置されている駐車場には、ひっきりなしに検査を受けに訪れる人がいたが、日々カウントされるふじみ野市の感染者数を見ると、おそらく感染している人は稀なのだと思う。その貴重なひとりになってしまった。3月27日の土曜日のことだった。


 奥さんが、身体が痛いと言っていたのが3月21日(日)。その日は朝から強い雨が降っていた。味覚は問題ないとのことだったし、もともと身体の強くない彼女が不調を訴えるのはよくあることだったので、「風邪でもひいたんじゃないの?」と軽く考えていた。

 2度目の緊急事態宣言が2か月半ぶりに解除となった翌22日(月)。夕方、竹下内科でPCR検査を受けた奥さんから電話が入る。暗い声で「陽性だった…」。えっ? 気が動転する。自分もすぐに検査を受けに行ったが、陰性とのことだった。


 どこでどう感染したのか。奥さんが働いているカフェか。あるいは、少し前の休みの日に用事があって新宿に行き、御苑近くの中華料理店でランチをしたのだが、その店だろうか。保健所にもそう説明した。ガーデンや奥さんが働いているカフェは、閉鎖する必要はなく、いつも通りの消毒を徹底してくださいとのことだった。

 翌23日(火)、奥さんは平熱に戻ったが、自分は午前中に38.3度の熱が出る。寒気もする。たまたま自分は連休を取っていたので、当番だった村越さんに連絡して事情を説明する。当然だが、自分はガーデンをしばらく休むことに。夕方、もう一度、検査を受けるが、またもや陰性。タイムラグがあるのだろうか。近所に住む父親が晩ごはん用に弁当を買ってきてくれたが、半分も食べられず横になる。

 24日(水)。朝には熱が下っていた。保健所から毎朝連絡が入るのだが、奥さんは指定するホテルに10日間隔離し、自分は自宅で療養することを勧められる。強制ではないようだ。犬の散歩のこともあるので、ふたりで話し合う。とりあえずホテルに行く準備する。

 25日(木)。平熱だが、身体が痛くて寝返りするのもつらい。明らかに感染していると思われる。だとしたら、隔離生活をする意味がないので、ふたりで自宅療養することを保健所に伝える。

 翌日、昼ごはんを食べたあとにまた熱っぽくなり、測ったら38度あった。それから37度台に下がったのだが、微熱が続く。そして27日(土)、陽性反応が出る。この日から味覚障害が出始める。嗅覚もおかしくなる。最初は気のせいかと思ったが、やがて何を食べてもまったく味がしなくなる。幸いにも呼吸器系に異常はなかった。咳は少し出るが、苦しいほどではない。


 家から一歩も出ない生活が続く。声がかすれてきた。太ももの内側、腹、背中、脇の下などに赤い蕁麻疹が出る。とにかく身体が痛くて、座っていられない。これまで経験したことがないような、刺すような痛みだ。一方、奥さんはだいぶ回復。保健所から仕事に復帰しても問題ないと言われる。発症した日から10日経過すると他人に感染させる可能性はほとんどないのだそうだ。

 31日(水)。朝37.5度。昼頃には平熱になるが、夕方はまた37.8度に。一日の中で波がある。特効薬がないので、解熱剤を飲んでただ寝るしかない。窓から春のキラキラした陽射しが入り込んでくる。桜は今が見頃だろう。一年で一番好きな季節なのに、悔しい。

 4月2日(金)。激しい頭痛に襲われる。頭が割れそうに痛くて、ベッドの上をのたうちまわった。頭痛薬を飲んで落ち着く。『北の国から』の田中邦衛が亡くなったというスマホのニュースを朦朧としながら見る。

 3日(土)。朝から体調がいい。本日で自宅療養期間が終了。しかし、大勢の人と接する仕事なので、村越さんと相談し、もうしばらく療養して様子を見ることにする。村越さんや宮寺さん、お手伝いをしてくれている涌井さんや井上さんにこれ以上の負担をかけたくなかったが、仕方がない。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 次の日、久しぶりに夫婦ふたり揃って犬の散歩に出掛ける。先に回復した奥さんから、犬の散歩仲間から避けられたという話を聞いていたので、時間帯をずらした。嫌な気持ちになったが、避けたい気持ちもわかる。逆の立場だったら、自分も怖いと思うかもしれない。地方などでは、感染者の中には職場に居づらくなって仕事を辞めることになったり、引っ越さなくてはならなくなった人までいるという話を聞いたことがある。自分が復帰したときに、会員さんはどのような反応を示すだろう。覚悟しておかないといけない。

 依然、味覚障害が残っているが、夕飯時にビールを少し飲む。味がしなくて不味かった。


 梅澤がバーガーキングのハンバーガーをランチに届けてくれた。うれしい。ほかにもこの療養期間中、差し入れをしてくれた友人がいた。お見舞いメールをいただいたり、「何か手伝うことはありませんか」と何人かから連絡をいただいた。気持ちがうれしかった。

 午後、念のため抗原検査を受けて陰性になったことを確認。陰性証明書を発行してもらう。これでひと安心だ。

 9日(金)。ガーデンの仕事に復帰。「おめでとう。よかったね」と暖かく迎えられた。犬の散歩仲間のことがあったので、いろいろ言われることを覚悟していたのだが、時間がだいぶ経過しているからか、そんなことはなかった。


 今日は5月10日。療養期間の間にすっかり季節が変わってしまい、今日は初夏の陽気だ。

体調は完全に回復したと思う。体力は落ちたが、味覚障害も気にならなくなったし、蕁麻疹も跡形もなくきれいに消えた。髪の毛が抜けたり、原因不明の頭痛に悩まされるといったよく聞く後遺症は、今のところない。振り返ってみると、感染したことが夢だったようにも思える。


 今、僕が皆さんに伝えたいのは、自分だけは大丈夫と思わないでほしいということ。自分も以前は、感染しないだろうという根拠のない自信があった。日々の感染者数は気にしていたが、家族や友人など身近に感染した人がいなかったので実感がなかったし、仲間と飲みに行ったりすることも、リスクの高い場所に行くこともなく、ただ普通の生活をしているのだから大丈夫と思っていた。だけど、感染した。姿の見えないウイルスは、おそらくいたるところに潜んでいて、ちょっとの油断だったり、たまたま体調が悪かったりしたときに、すっと入り込んでくるのだろう。


 今回のコラムは少し長くなってしまいました。KTG初のコロナ感染者が支配人である自分という、まさかの展開でしたが、記録し、伝えることができる立場なので、少し詳しく書きました。

 先日、ある会員さんから「ガーデンで最初の感染者が中林さんでよかった」と言われました。確かにそうかもしれません。このコラムを読んだ皆さんが、これまで以上に感染防止対策を徹底していただければ、僕ら夫婦の今回の経験も無駄なことではなかったと思えます。

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